江戸期牙彫根付—鯰を諫める猿(瓢箪鯰)

無銘

約高4×横2.8×厚1.7cm

重約14g

京都スクール

象牙より深みのある艶で透き通るような飴色が出ている素晴らしい逸品。もう一つの特徴は、この根付の重さを感じさせないことだ。昔から「名品に重いもの無し」という言葉があるものだ。根付は機能的な意味からも、余りぼてぼてした重味のあるものは、高い評価の対象になるまい。

鯰(なまず)は大きな魚で少しでも動くと地震が起こるため、地震魚と呼ばれる。安政大地震の時に擦られた大津絵を元にした題材。猿が瓢箪で地震を意味する鯰の頭を静かに押さえつけて、地震を起こさせないようにしている珍しい構図。

1586年1月、中部地方の広い範囲を襲った天正地震にあった。このとき秀吉は琵琶湖に面する坂本城(滋賀県大津市)にいた。当時、琵琶湖のシンボルはナマズで、ナマズが騒いだから地震が起きたと土地の人たちの話を聞き、秀吉は「鯰(ナマズ)は地震」と頭にインプットしてしまった。余震に怯える江戸の民衆は、震災情報を求めて瓦版を買い求めたほか、鯰を諫(いさ)める錦絵を求めた。

禅問答の「瓢箪鯰」を元にした由来。鯰の上に乗っている猿が瓢箪で鯰を押さえるからとらえどころのない様子。意味としては「のらりくらりとして掴みようのない」、即ち要領を得ないとのこと。

参考:

印籠と根付P115(図版304木彫),東京国立博物館編,二玄社,2000年

根付の題材―根付小事典P56(図版116),Karl M. Schwarz)原著,里文出版2001年8月改訂版

NETSUKE- The Miniature Sculpture of Japan(大英博物館蔵根付カタログ) P160(図版363),By Richard Barker and Lawrence Smith,Brithsh Museum,1976

18世纪末牙雕根付—猴谏鲶(震灾)

无铭

约高4×横2.8×厚1.7cm

重约14g

京都派

小猴骑坐大鲶上,试图用葫芦压制降伏。构图巧妙,工艺精湛,刀法健朗。琥珀色包浆清澈怡人,重量轻微,诚所谓“杰作无重,大雅通俗”。

图案取材于大津绘,鲶为传说中大鱼,稍微活动则形成地震,以故又名地震鱼。1586年1月,日本中部地区广泛发生大地震,其时丰臣秀吉正驻扎坂本城(现滋贺县大津市)琵琶湖畔。传说大鲶潜身琵琶湖,秀吉耸言地震因鲶引发,一时传为笑谈。好事者锦绘猴鲶图案,借此讽刺外号猴子的秀吉。

此外,禅宗亦有“瓢箪鯰”故事:鲶兴风作浪,猴试图以瓢打捞鲶抑制地震,意为不自量力,此即后世成语不得要领之来历。震灾一语双关,充满禅宗智慧。

参考:

印籠和根付P115(图版304木彫),東京国立博物館編,二玄社,2000年

Netsuke Subjects(根付之题材)P56(图版116),By Karl M. Schwarz,Vienna,1992

NETSUKE- The Miniature Sculpture of Japan(大英博物馆藏根付解说)P160(图版363),By Richard Barker and Lawrence Smith,Brithsh Museum,1976

江戸期牙彫根付—鯰を諫める猿(瓢箪鯰)

投稿者:

明珠

明月在天,清辉满地

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