唐風美女—牙彫置物根付横たわる裸婦(femme medecin)

約長13.7×横3.2 cm

重約59.3g

無銘

河馬牙彫

19世紀末20世紀初

フランス貴族旧家からの初出し品。珍しい春画題材の裸婦美人根付。見事に裸婦の絵柄が表現され、細部まで繊細に表現された秀逸な趣きがある逸品。象牙に比べるとエナメル質の光沢がそれより強く美しく、その輝きと重量感がきっしり感じられる。

寝床に横たわる美しい貴婦人。月日を経つ素晴らしい浅飴色になった大振りな秀作。見る角度によって女性の目はうっとり薄く開いていることが明確できる。裸体を柔らかい曲線が繊細に彫られ、髪のうねり、女性なりの優しい顔がはっきり表現されている。

類似作品は確かに装剑奇赏巻七根付編16丁表に載せる一方、中国では明清時代から伝世品がかなりの量があるだから、これは日本の根付か中国の医美人か実に判断不可能。

医美人は元々医者が貴族女性に問診用のモデルとして中国伝来の昔話だが、サイズから見れば、噂は噂だった。恐らく権力者達の書斎秘玩の存在と推測されている。とにかくモデルは最も眉目うるはしい侍女や女官を選んで裸にし、惚々眺め楽しんでいった。

本作は珍しく河馬の牙を用いて彫り仕上げだ。河馬の犬歯は古くから装飾品や工芸品の原材料として珍重されてきた。十分な硬度が持ち合わせるため、19世紀のアメリカでは、人用義歯の材料として用い至るまで。同時代東亜に位置する日本も中国も、その貴重性は想像し難くないだろう。

風格も象牙と肩を並べるほどで、そのきめ細やかな質感と光沢の美しさは優劣をつけがたいものだ。実印や銀行印など重要な場面で使用する印鑑素材として、河馬牙を選ばれた者は決して少数ではない。

参考

装剑奇赏巻七根付編16丁表,稻葉通龍新右衛門著,天明元(1781)年刊

Ivories of China and the East lot 19,Published by Spink and Son Limited, London, 1984

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唐風美女—牙彫置物根付横たわる裸婦(femme medecin)

 

投稿者:

明珠

明月在天,清辉满地

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