明治六年ウィーン万国博覧会展示品—卓上美学—華麗至極な超絶技巧金細工高肉象嵌蒔絵ペーパーナイフ

鞘含め約10cm、鞘約6.5cm、刃渡り約5.5cm、幅约1cm、紐含め重約77.2g、オリジナル拭い錦保存良、箱付。明治六年ウィーン万国博覧会展示品。コンディション良好、極美。

パリの美術倶楽部(非公開サロン)で落札した華麗な日本刀形式のペーパーナイフ(paper knife)。軽いものの、鞘全体に花草紋様の純銀高肉象嵌のうえで、細密な蒔絵で表現された桜花と片切彫で施された枝葉が何れもその素晴らしさを賛嘆する。

ペーパーナイフは普通書状あるいは書類袋などの開封のために用いるナイフ状の道具。ナイフと名が付いているが、鋭利な刃付が成されている物は稀で、本作は刃先も柳葉状刀身も鋭い、まるでミニチュアな本物日本刀と見なしても良い。日本の金工師ならではの秀作、日本人こその誇りに決まっている。

紐状メタリック糸のタッセルが付くので、装身具としてある意味では根付とは認める。日本は国家といて初めて公式的に参加した明治六(1873)年のウィーン万国博覧会で金工をはじめ日本の工芸品は爆発的な人気を博した。

同時欧米諸国は日本のように多様な色金を用いて、高度な彫りや複雑な嵌蒔象嵌技術で加工されたものは皆無。特に卓上の華として美しく装飾されたものが大人気。高価にもかかわらず、彫金が施されていたり、象嵌や嵌蒔といった物で宝飾として大盛況の爆買いになっていた。

残念ながら明治には海外への輸出目的で「超絶技巧」と呼ばれる細かい彫刻の作品が若干生み出される一方、大正に入ると和装から洋服が主流になり、ポケットのついた洋服では出番がなくなったため、和小物は衰退の一途を辿り着いた。

明治六年ウィーン万国博覧会展示品—卓上美学—華麗至極な超絶技巧金細工高肉象嵌蒔絵ペーパーナイフ

投稿者:

明珠

明月在天,清辉满地

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