睡眠導入剤

睡眠薬は、メカニズムの違いから2つに分けることができる。

脳の機能を低下させる睡眠薬:覚醒に働いている神経活動を抑えることで、眠気を促しす。「疲れきって眠ってしまうとき」に近い状態を作り出し、強引さのある効き方。

自然な眠気を強くする睡眠薬:睡眠・覚醒の周期に関係する生理的な物質の働きを調整し、睡眠状態に仕向けていく薬。本来の眠気を強める形なので、効果が人によって異なる。

睡眠導入剤の種類には大きく分けて以下の4種類がある。

超短時間型:飲んで1時間未満で最も効き、2~4時間ほどで効果が無くなる。

 

①ハルシオン(Halcyon)=トリアゾラム(Triazolam),最高1錠0.25mg,重度の場合1日2錠まで服用が許される場合もある。

②マイスリー(Myslee)=酒石酸ゾルピデム(zolpidem),最高1錠10mg

日本での商品名はマイスリーで、アステラス製薬が販売する。同じく睡眠導入剤のゾピクロン(アモバン)、エスゾピクロン(ルネスタ)、トリアゾラム(ハルシオン)と同様に超短時間作用型であり、寝付きの悪さの改善薬として出される。

不眠症に適応がある。ただし、統合失調症および躁うつ病に伴う不眠症は除く。なお、超短時間作用型の睡眠導入剤であるため、夜中に何度も目が覚めるなど早朝覚醒には用いられない。この場合は、ベンゾジアゼピン系などの中間作用型の薬(ニトラゼパムなど)が使用される。

他害行為を誘発する傾向は、アメリカで認可された睡眠薬ではトリアゾラムに次ぐ。日本の薬物乱用症例の中でも上位5位に入り乱用されやすい。

③アモバン(Amoban)=ゾピクロン(Zopiclone):最高1錠10mg

フランス国有化学製薬会社ローヌ・プーラン社(Rhône-Poulenc)が創薬し、1987年にImovaneの商品名で発売された。日本では1989年からアモバンの商品名で発売されている。深い眠りを増加させ、超短時間作用型睡眠薬として知られている。睡眠への影響では改良されている。

④ルネスタ(Lunesta)=エスゾピクロン(Eszopiclone):最高1錠3mg

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不眠症の主症状である入眠障害と中途覚醒のいずれにも有効。また、臨床的に問題となる依存性や持ち越し効果などは認められず、長期投与による耐性を示さない。

短時間型:飲んで1~3時間で最も効き、6~10時間ほどで効果が無くなる。

①レンドルミン(Lendormin)=ブロチゾラム(Brotizolam):最高1錠0.25mg

睡眠導入剤、麻酔前投与薬の一種。短時間作用型。最高血中濃度時間が1.5時間と短い、服用してから間もなく効き始めるのが特徴。血中濃度半減期は7時間、人間の理想的な8時間睡眠をほぼ確保できるが、連用により依存症、急激な量の減少により離脱症状を生じることがある。日本でも乱用症例からリスクの高い薬剤に同定。

②ロラメット(Loramet)=ロルメタゼパム(Lormetazepam):最高1錠1mg

睡眠導入剤、鎮静薬。脳内で神経興奮に関わるベンゾジアゼピン受容体(BZD受容体)を刺激して、脳の活動を抑えることで眠りやすくし、睡眠障害などを改善する薬。

③エバミール(Evamyl)=ロルメタゼパム(Lormetazepam):最高1錠1mg

ベンゾジアゼピン系の睡眠薬の一つ。日本においてはバイエル薬品よりエバミール、あすか製薬・武田薬品工業よりロラメットの商品名で販売されている。

肝臓への負担が少なく、他の薬への飲み合わせの影響も少ない、安全性の高さには定評がある睡眠薬ものの、効果はややマイルド。

④リスミー(Rhythmy)=リルマザホン塩酸塩水和物錠(Rilmazafone):最高1錠1mg

麻酔前投薬、短中時間作用型睡眠導入剤。日本では塩野義製薬が開発し、1989年から商品名リスミーで発売されている。

平均約3時間で最高血中濃度に達し、そこから10.5時間持続する。睡眠薬として単純に寝つきが悪いだけではなく、夜中に起きてしまって眠れないようなケースにも処方される。

⑤ベルソムラ(Belsomra)=スボレキサント(Suvorexant):最高1錠15mg

脳の覚醒を促進する神経伝達物質オレキシンの受容体を阻害することで、脳を睡眠状態へ移行させ睡眠障害を改善する薬。

中時間型:飲んで1~3時間で最も効き、24時間前後で効果が無くなる。

①サイレース(Silece)=フルニトラゼパム(flunitrazepam):最高1錠3mg

入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒など、睡眠障害で効果は非常に強く、脂肪に吸収されにくく効きやすい、切り札ともいうべき睡眠薬。その強力さゆえ、犯罪に使われてしまうこともある。

また、デパス(エチゾラム)、レンドルミン(ブロチゾラム)、エバミール/ロラメット(ロルメタゼパム)、リスミー(塩酸リルマザホン)は、サイレースと同程度の作用時間である睡眠薬。

②ベンザリン(Benzalin)=ニトラゼパム(Nitrazepam):最高1錠5mg

ベンゾジアゼピン系の中間型作用時間を持つ睡眠薬。習慣性医薬品指定。日本では1967年に商品名ベンザリン (Benzarin) として塩野義製薬が開発・発売し、またネルボン (Nelbon) として第一三共が販売している。

作用時間が比較的長い、「なかなか寝つけない」という入眠障害だけでなく、中途覚醒や早朝覚醒に効果が期待できる。

③ユーロジン(Eurodin)=エスタゾラム (estazolam) 最高1錠2mg

中時間作用型睡眠薬。不眠症、麻酔前投薬。日本では、商品名ユーロジンで武田薬品工業より販売されている。

④エリミン(Erimin)=ニメタゼパム (nimetazepam):最高1錠5mg

中時間作用型睡眠導入剤。日本では1977年より商品名エリミンとして大日本住友製薬から発売され、適応は不眠症。2015年8月販売中止。

日本にほとんど集中しており薬物乱用の主流。タイ・マレーシア・シンガポール・ラオス・香港・インドネシアの薬物押収にも共通している。日本の組織犯罪は不眠症の薬として合法的に輸出されている。少なかれフルトプラゼパム・テマゼパム・ミダゾラム・ニメタゼパム·トリアゾラムにも関与している。東アジアと東南アジアでは最も厳しく流通規制が設定され、最も需要が高い。

長時間型(抗不安剤):飲んで3~5時間で最も効き、24時間以上効果が持続する。

①アルプラゾラム(Alprazolam):最高1錠0.4mg

日本では商品名ソラナックス、コンスタンで知られ、後発医薬品も多数。短期間作用型抗不安薬、半減期は約14時間。身体症状と不安・緊張・抑うつ・睡眠障害に適応。長期間投与は抑うつを引き起こすリスクがある。

②ドラール(Doral)=クアゼパム (Quazepam):最高1錠15mg

中時間作用型睡眠薬。不安や緊張をほぐし睡眠を促す、短期的な不眠症の治療に用いられる。

③ダルメート(Dalmate)=フルラゼパム (flurazepam):最高1錠15mg

長時間作用型睡眠導入剤、10時間持続タイプの催眠鎮静剤、抗不安剤。日本ではダルメート、ベノジールという商品名で発売されている。

④ソメリン(Somelin)=ハロキサゾラム(Haloxazolam):最高1錠10mg

長時間作用型睡眠導入剤、中枢神経系用薬、催眠鎮静剤·抗不安剤。睡眠増強作用はニトラゼパム、エスタゾラムと同程度でフルラゼパムより強い。睡眠導入作用はニトラゼパムと同程度である

⑤デパス(Depas)=エチゾラム(Etizolam):最高1錠0.5mg

精神安定剤だが、睡眠導入剤としても処方され、よく眠れるとの声も多い。不安や緊張をやわらげ、神経症、うつ病、統合失調症などにおける不安・緊張・抑うつ・睡眠障害などの改善に用いられる。

⑥クエチアピン(Quetiapine):非定型抗精神病薬、国内外で商品名セロクエルで販売され、日本での適応は統合失調症である。主にその症状である幻覚や妄想を抑える。またアメリカ合衆国では双極性障害にも適応があり気分安定薬として用いられる。薬事法における劇薬。糖尿病には禁忌である。

ラボナール(Ravonal)=チオペンタール(Thiopental):静脈注射用0.5g

バルビツール酸系の麻酔薬。静脈注射により鎮静・催眠効果を示す。アメリカでは死刑執行時に意識を無くす薬物として知られる。サイレースより効果が強いバルビツール系睡眠薬が、安全性や依存性の観点から使われることは極稀。

また、ウット(wutt)、ドリエル(drewell)、柴胡加竜骨牡蛎湯など市販薬は、処方薬より効き目が薄いというより、全く効かないほうが妥当だと思う。個人的な体験では、イララック(Irarac)のみある程度効果があると言える。

イララック(Irarac):漢方鎮静剤,高ぶった神経を落ち着かせ,気持ちを穏やかにする医薬品。植物由来の生薬エキスがイライラ感や神経の高ぶり(興奮感)を鎮める。味が気にならない,服用しやすいカプセル剤。

投稿者:

明珠

明月在天,清辉满地

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